プロフィール

兵庫県出身の冒険家・登山家。1970年に日本人として初めてエベレストに登頂し、同年、世界で初めて五大陸最高峰の登頂を果たした。犬ぞりによる単独の北極点到達など数々の世界初を刻み、没後に国民栄誉賞を受けた。

植村直己は1941年2月12日、兵庫県城崎郡国府村(現・豊岡市)上郷に生まれた。決して恵まれた体格でも器用でもなく、自身を「臆病」「意志が弱い」と評したほどだったが、明治大学農学部に進んで山岳部に入り、そこで山にのめり込む。1964年に大学を卒業すると、数百ドルだけを手に日本を飛び出し、言葉も通じない異国で農場労働などをして資金を稼ぎながら、単身で世界の高峰へと向かっていった。

1970年5月、日本山岳会のエベレスト遠征隊に参加して日本人初の登頂を果たし、そのわずか三か月後の同年8月にはマッキンリー(デナリ)に単独登頂して、世界で初めて五大陸それぞれの最高峰に立った人物となった。彼の真骨頂は集団登山よりも単独行にあり、1978年には犬ぞりを操って人類史上初めて単独で北極点に到達し、さらにグリーンランドの縦断にも成功する。極地を一人で旅する技術を、現地の人々に学びながら独学で身につけていった点に、彼の粘り強さと謙虚さがよく表れている。

1984年2月、植村は世界初となる冬季のマッキンリー単独登頂に成功したが、その下山の途中で消息を絶った。43歳の誕生日を迎えたばかりだった。同年、その功績をたたえて国民栄誉賞が贈られ、登山界で唯一の受賞者となった。故郷の豊岡市には植村直己冒険館が開かれ、『青春を山に賭けて』『極北に駆ける』などの著作とともに、「自分でやってみる」という彼の精神は今も多くの人に受け継がれている。

植村直己の名言一覧