プロフィール

東京都出身の魚類学者・イラストレーター・タレント。子どものころからの「魚好き」をそのまま仕事にし、テレビや講演、著作で魚と海の面白さを伝えつづけている。2010年には絶滅したとされていたクニマスの再発見に貢献した。東京海洋大学名誉博士・客員教授。

さかなクンは1975年8月6日、東京都葛飾区に生まれた。本名は宮澤正之。子どものころから魚に夢中で、学校の勉強よりも水族館や魚市場、磯や港に通いつめる少年だった。ノートは魚の絵で埋まり、中学生のときにはカブトガニの人工孵化に成功して新聞に取り上げられている。一方で学校生活は決して順風満帆ではなく、中学一年生のときには吹奏楽部で仲間はずれにされる友達を目の当たりにした。この時期の経験は、のちに彼がいじめについて書く文章の芯になる。

高校生のときにテレビ東京の番組『TVチャンピオン』の「全国魚通選手権」に出場して頭角をあらわし、同選手権で5連覇を果たして殿堂入りした。大学へは進まず、鮮魚店などで働きながら魚のイラストと解説の仕事を重ね、「さかなクン」としてテレビ・講演・執筆で活動する存在になっていく。学歴の階段ではなく、好きなものを見つづけた時間そのものが専門性になった、めずらしい経歴である。2006年には東京海洋大学の客員准教授に就任し、2015年3月には同大学から名誉博士の称号を贈られ、2022年に客員教授となった。

2010年、クニマスの絵を描くために山梨県の西湖から取り寄せた「黒いヒメマス」を、彼は京都大学の中坊徹次教授のもとへ送った。詳しい検証の結果、それは約70年前に秋田県の田沢湖で絶滅したとされていたクニマスだと判明し、同年12月15日に公表されて大きな驚きをもって迎えられた。この再発見への貢献に加え、海に関する普及・啓発の功績が評価され、平成24年度(2012年)の海洋立国推進功労者内閣総理大臣表彰を受けている。農林水産省「お魚大使」、文部科学省の日本ユネスコ国内委員会 広報大使、環境省「地球いきもの応援団」生物多様性リーダーなども務め、現在は千葉県館山市に暮らしている。

2006年12月2日、朝日新聞の連載「いじめられている君へ」に寄せた文章「広い海へ出てみよう」は、魚の観察といじめの構造を重ねた内容が大きな反響を呼び、翌2007年に絵本『さかなのなみだ』(リヨン社)として世に出た。この文章は現在、中学校の道徳教材にも採られている。魚の専門家としての目と、変わり者として生きてきた自分の実感とが重なった言葉として、いまも読み継がれている。

さかなクンの名言一覧