背景と出典
明治39年(1906年)刊行の小説「草枕」冒頭の一節。漱石が英国留学で感じた西洋と日本の精神的葛藤、そして近代化社会における個人の孤独を凝縮させた言葉として広く知られる。草枕は「非人情」の境地を追求した芸術家を主人公とする独自の小説で、詩的な文体が特徴。
現代への示唆
完璧な生き方などない。理性・感情・意地のすべてが、時に自分を縛る。しかしその困難を知ったうえで前へ進もうとすることこそが、人生の誠実な態度なのかもしれない。
この名言の意味
「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」——夏目漱石が1906年(明治39年)刊行の小説「草枕」冒頭に記したこの一節は、100年以上を経た今も、あらゆる人の経験を言い当てるように読まれ続けています。
理性だけで動けば人を傷つける。感情に任せれば流されてしまう。自分を貫こうとすれば息が詰まる。この三つの困難を簡潔に示した後、「住みにくい」という結論は、諦念ではなく、そのことを知ったうえでいかに生きるかを問いかけています。