この名言の意味

草間彌生が自伝『無限の網』で明かした、日常生活の実態です。病気は過去のものではなく、現在進行形です。「毎日闘っている」という現在形は、芸術への転換がいかに継続的な実践であるかを示しています。病気が「癒えた」から芸術に向かうのではなく、癒えていないからこそ、制作を止めることができないのです。

草間は1977年から、東京の精神科病院に自ら入院しながら、隣接するアトリエで毎日作品を制作し続けています。創作は趣味でも療養の一形態でもなく、文字どおりの生命維持行為——この言葉はその認識を正直に伝えています。芸術療法(アートセラピー)の先駆的な証言としても注目されており、「表現が人を救う」ことを草間は90年以上の人生で実証し続けています。

現代への示唆

「唯一の方法だ」という言葉の強さに注目したい。草間は複数の選択肢の中から芸術を選んだのではなく、芸術しか機能しなかったのだ。現代では「メンタルヘルスのための表現」は広く語られるが、草間の証言はその実践が一日も欠かせない継続的な行為であることを示している。気分が乗ったときだけ描くのではなく、具合が悪い日でも毎日続けること——そこにはセルフケアを「習慣」ではなく「生存行動」として捉え直すヒントがある。あなたには、そういった毎日の行為があるだろうか?

背景と出典

草間彌生が自伝『無限の網』(2002年、作品社;英訳 Infinity Net, 2011年、Tate Enterprises)で記した言葉。強迫神経症による幻視・幻聴は幼少期から現在に至るまで続いており、草間は1977年から東京の精神科病院に自ら入院しながら、隣接するアトリエで毎日制作を続けている。創作こそが精神的苦痛を和らげる唯一の手段だと繰り返し語ってきた草間の告白は、芸術療法(アートセラピー)の先駆的証言としても注目される。