この名言の意味

「この世は生きるに値するんだ」——この言葉は、2013年9月6日の引退会見で宮崎駿が語った言葉の核心部分だ。「僕は児童文学の多くの作品に影響を受けてこの世界に入ったので、基本的に子供たちに『この世は生きるに値するんだ』ということを伝えるのが自分たちの仕事の根幹になければいけないと思ってきた。それはいまも変わらない」——40年以上の創作活動を振り返り、その出発点と終着点が同じだったことを示す言葉だ。

宮崎の映画は主人公を楽園へは連れて行かない。孤独・喪失・恐怖・別れ、そのすべてを経験させながら、それでも「生きていくことには意味がある」と感じられる場所へ連れていく。「この世は生きるに値するんだ」という信念は、そのすべての物語の通奏低音として流れ続けていた。

現代への示唆

映画でも、小説でも、音楽でも——人がある表現に深く心を動かされる瞬間のほとんどは、「この世界には意味がある」という感覚と重なる。宮崎の物語は主人公を楽園へ連れて行かない。孤独・喪失・恐怖・別れ、あらゆる困難を経験させながら、それでも「生きることには意味がある」と感じさせる場所へ連れていく。あなたが大切にしているものは、「この世は生きるに値する」と思わせてくれるか——この問いを問い直すことが、宮崎の言葉が現代に投げかける示唆だ。

背景と出典

2013年9月6日、東京で行われた引退記者会見での発言。宮崎は「僕は児童文学の多くの作品に影響を受けてこの世界に入ったので、基本的に子供たちに『この世は生きるに値するんだ』ということを伝えるのが自分たちの仕事の根幹になければいけないと思ってきた。それはいまも変わらない」と述べた。「風立ちぬ」の公開直後に行われたこの会見は、日本経済新聞・NHKをはじめ主要メディアが全文を報道した。宮崎の40年以上に及ぶ創作の核心を表す言葉として、広く記憶されている。